とろサーモン・久保田かずのぶ 覚悟決めて臨んだM-1 初の自叙伝「慟哭の冠」で地獄の日々を描写

 破天荒で毒舌-。その強烈なキャラクターでおなじみのお笑いコンビ・とろサーモンの久保田かずのぶ(45)は誰よりも挫折を経験し、誰よりも「笑い」に賭けて生きてきた。このほど初の自叙伝「慟哭の冠」(KADOKAWA)を発売し、自らが東京で味わった「地獄」の日々を生々しく描写。M-1グランプリを優勝していなければ「首を吊って死ぬこと」を覚悟し、間違いなく芸人を辞めていたという。華々しさとはかけ離れた道を歩んできた久保田に話を聞いた。

 「声をあげ、激しく嘆き泣くこと」を意味する「慟哭」をタイトルに冠した今作は、東京進出直前の2010年からの日々を記録。「僕の中ではだいぶ熱量こもってる」という力作で、17年にM-1を優勝した直後から約9年かけ執筆に励んだ。

 一時は書きためた原稿が消えるハプニングもあった。それでも「過去」は鮮明だった。久保田自身「大きく傷ついたことは忘れる」というが「小っちゃいキズは忘れない」と説明。そのキズは蓄積し、忘れることのない地獄と化した。

 大阪では数々の賞レースを総ナメにし、満を持して上京も2年で仕事が減少。勢いを維持できなかった理由を久保田は悩みつつ「大阪でやってたルールが全く東京では通用しない」と分析した。

 「大阪の時は番組のスタッフと飲みに行かなかったし、トガってた。裏方みたいなやつと飲んでも意味ねえわって。ただ東京来ると人のおかげで生きてる気もしだして。そこからぬくもりとか、苦労も分かっていった」

 まんまとてんぐの鼻をへし折られた。作中でも「大阪で勝ち得た知名度なんて東京では通用しない」とつづっている。

 決意新たに開催を決めた東京進出後の初単独ライブはチケットが売れず自ら手売りもした。仕事が入らず、支え合った当時の妻との関係も次第に悪化。しばらくして一枚の「紙」を残し、家を出て行かれた。闇堕ちするのは時間の問題だった。

 「金持ちの靴磨いてお小遣いもらった時もあったし。そうなるとクズってものがより漆黒さ、輝きを見せてリアルなものになってくる」。華々しさと縁など無かった。

 だが皮肉にも「笑い」に直結した。憂さ晴らしかのように数々の不幸を自虐的に舞台上でぼやくと「ウケるんですよ」。一つの結論が出た。

 「俺が不幸になって、それが舞台でウケる。目の前の客見たら、皆笑顔。『ああそう。俺が傷つけば笑うんだね』って」

 むしろ感謝の念すら覚えた。「神様優しいなと思ったのは、俺がお笑いやってなかったらそんなん誰も笑わないじゃないですか。生きてることは全部財産になるような気がしますね」。笑いになればそれで良かった。

 どん底に落ちてもネタを書く事だけは辞めなかった。M-1を優勝すれば大逆転する確信があったから。それ故に作中では「優勝できなかったら選択肢は2つ。会社で首吊って死ぬか、無免許でダンプ乗って会社に正面衝突するか」と記した。

 大げさではない。「平気でそういうことは覚悟してた」と述懐した。芸歴15年目までの出場制限がある中、見事ラストイヤーで優勝したが、そうでなければ、芸人はきっぱり辞めていたという。

 高校の同級生だった相方・村田秀亮に「おまえめちゃくちゃおもろいで」と言われ進んだ芸人の道。そこまで続けてこられた理由には熱が入った。

 「それは俺にとってお笑いしか無かったんで最後の証明です。何もできなかったやつがおもろいよって言われてここに来たんですよ。それ否定されるんだったら人権もない人間だし、15年で証明しろって神様の啓示があるんだったらそこはやろうと。賭けですね」

 夢をかなえ、芸人として生きながらえ早や8年目。ジェットコースターのように浮き沈みが激しかったからこそ今は「安寧」を求めているという。

 「そういう生き方からは少し今は離れたくて、穏やかな生活をしたい。僕も好感度の良い、行儀の良い芸人みたいにつつましくいてたいなって思っただけですよ」。刺激はもう十分に味わった。

 穏やかな日々を求める中で、昨年11月には一部で俳優・竹内涼真の妹でタレントのたけうちほのかとの熱愛が報道された。私生活も含め順風満帆かと思いきや、「俺の仕事が順調じゃないって書いといてください。そこだけ不安定ですよ!」とぼやいた。結婚予定については「そういうのはないない」とけむに巻いたが、「言っといてくださいマスコミの皆さんに」と前置きし、続けた。

 「人が結婚したって記事で金稼げないでしょ?もう古ない!?まじで古いと思う」。思わず苦笑いでぶっちゃけた。

 芸風故に炎上しがち。良くも悪くも何かと話題も絶えない。だが、そんな芸人人生は誇れる物だと自信を持って言える。

 「人の人生なんてうらやましいと思ったことは無くて。いつでも俺の人生楽しいやろ、どう?って思ったりするので、この生き方でまだずっといけたらいいと思う」

 誰よりも笑いにストイックな「クズ」芸人だ。

 ◇久保田かずのぶ(くぼた・かずのぶ)1979年9月29日生まれ。宮崎県宮崎市出身。2002年7月、高校時代の同級生だった村田秀亮と「とろサーモン」を結成。06年「オールザッツ漫才」優勝。07年「笑いの超新星」最優秀新人賞獲得。08年「NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞獲得など受賞歴多数。17年、「M-1グランプリ」優勝。村田とそろって大阪NSC21期の試験を受けるもなぜか久保田だけ不合格となり同22期生に。特技はテニス、ラップなど。身長175センチ。

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