阪神・佐藤輝 サイ・ヤング賞2度スネルから衝撃V3ラン「すごい自信に」カブス&ドジャースに連勝“世界一の虎”

 「プレシーズンゲーム、阪神3-0ドジャース」(16日、東京ドーム)

 大谷の目の前で、虎の大砲が衝撃の一発を刻んだ。阪神・佐藤輝明内野手(26)が16日、ドジャースとのプレシーズンゲームで、サイ・ヤング賞を2度受賞しているスネルから豪快な3ランを放った。前日のカブスに続き、この日は世界一軍団に勝利。2年ぶりの“セ界一”に向けた今季の戦いに、弾みをつけた。

 すさまじい快音が東京ドームに響き渡る。佐藤輝が豪快な一発でスタンドの4万2059人に衝撃を与えた。「最高の結果になって良かったなと思います」。マウンドのスネルは悔しそうな表情を浮かべ、捕手のスミスは打球を見つめるだけ。右翼のT・ヘルナンデスも2、3歩で追いかけるのをやめた。

 四回無死一、三塁。カウント2-2と追い込まれながら、高めの152キロ直球をコンパクトに捉えた。「ちょっと詰まってたんですけどね。角度が良かったです」。虎党が待つ右翼席に衝撃の3ランをガツン。淡々とした表情でダイヤモンドを一周したが、ベンチ前では大きな叫びと満面の笑みで、喜びを最大限に表現した。

 相手のスネルは身長193センチで常時150キロ超えの直球を投げてきた。18、23年にはサイ・ヤング賞を獲得。今季からFAでドジャースに加入し、大谷も通算6打数2安打と本塁打は記録していなかった。そんな大投手を2打席で攻略。「相手は移動などで調整が難しい中でしたけど、それでもすごい自信になる」。今年の進化と成長を予感させるような打席となった。

 藤川監督は「元気にゲームへ出て、アグレッシブに暴れ回ってくれていた」と評価。確かに、この2日間は本当に楽しそうだった。15日のカブス戦は久しぶりの右翼にも戸惑うことなく、打っては適時打。ヘッドスライディングで二盗も成功させた。野球少年に戻ったように白球を追いかけ、自信も手に入れた。

 収穫もある。「対応力というか、自分の中の引き出しが一つ増えた気がした」。MLB屈指の好投手と2試合で7人も対戦できた。真っすぐの速さや変化球の曲がり幅、質など初めて体感したこともあったはず。データも少ない中で仕留められたことは、今季にも必ずつながっていく。

 チームはカブスとドジャースに連勝。投手陣はゼロに抑え、打線もここぞの好機で得点するという強さを見せた。長時間移動の後で調整の難しさはあっただろうが、相手スタメンは2戦とも“本気”。昨季のワールドチャンピオンに勝ったことで、“世界一の虎”という箔(はく)もついた。

 18日からはオープン戦を5試合戦って、いよいよシーズン開幕へと向かう。「速い球の投手にも対応できるっていうのは良かった。その感覚を、また生かせればなと思います」。カブスもドジャースも倒した。今年の目標はセ界一。世界の野球ファンよ、佐藤輝が与える衝撃はこれで終わらない。

 ◆スネル関連メモ 2018、23年とサイ・ヤング賞を2回獲得しているスネルは、昨季までレイズ、パドレス、ジャイアンツに所属してメジャー通算76勝、1368奪三振をマークしている。昨年8月2日のレッズ戦ではノーヒットノーランを達成。シーズン後にフリーエージェントとなり、同年11月にドジャースと5年契約を結んだ。大谷はスネルとは6打数2安打で打率・333、1打点、二塁打1、5四死球、1三振。相性は決して悪くないが、メジャー屈指の左腕からホームランは打っていない。

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