阪神・才木 大谷K斬り!膝つき衝撃弾のリベンジ「打たれたボールで三振を取りたいなと思っていました」5回1安打無失点

 「プレシーズンゲーム、阪神3-0ドジャース」(16日、東京ドーム)

 2年分の思いが詰まった1球だった。阪神・才木浩人投手は跳びはねながら、小さくガッツポーズ。東京ドームに「SAIKI」コールが響き渡った。

 「打たれたボールで三振を取りたいなと思っていました」

 23年3月6日。WBC前の侍ジャパン強化試合で大谷に「ベストボール」だったフォークを、左膝をつきながら中堅スタンド後方へ運ばれた。それ以来、741日ぶりの対決に「意識しました」と思わず心の声も漏れた。

 初回先頭で向かい合い、2球で追い込んだ。3球目のフォークは思い切り地面にたたき付けたが「本当に(バットが)当たらないところを狙って」と低めを意識したからこそ。4球目もフォークを投じ、カウント2-2に。迷いはなかった。ここでも才木と坂本のバッテリーが選択したのは-。フォークだった。

 鋭く落ちた1球に大谷は体勢を崩され、バットは空を切る。「三振を取りたいなと思っていましたし、ストレートで押してフォークで三振を取れるのが一番理想だなと思いながら、投げていました」。まさに理想通りの投球だった。

 三回2死では「真っすぐで押していこう」と2球目のスライダー以外は直球勝負でフルカウントに。6球目、内角高め152キロで詰まらせ、中飛に打ち取った。大谷を完璧に封じ、雪辱を果たした。ただ、直球には「感触的には悪くはなかった」と手応えを感じながらも「向こうは今日、ナイターデーですし、コンディションの面で大変かなと。その状態で抑えたとかって、あんまりあれなので」と謙虚に話した。5回1安打無失点で、七つの空振り三振を奪う圧巻の投球だった。

 試合後も貴重な時間を過ごした。グラスノーに自らカーブについて質問。実際にボールを使いながら握りなどを教わり、「すごいいいことを聞けた」と笑みがこぼれた。グラスノーは才木を「非常にいい投手」と称賛。ドジャースにも強烈なインパクトを与え、勝利を導いた。

 ホーム開幕戦の4月1日・DeNA戦(京セラ)での先発が決定している右腕。お立ち台では大盛り上がりの虎党に「みなさん気付いていないかもしれないですけど、まだ開幕していないので」とツッコミ、爆笑をかっさらった。「しっかり開幕からスタートを切れるように頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」。また一つ大きな成長を遂げ、シーズンでも無双する。

 ◆大谷VS才木 前回対戦VTR(2023年3月6日) WBC強化試合として行われた侍ジャパン-阪神戦(京セラ)。先発の才木は「3番・DH」で出場した大谷と真っ向勝負を挑んだ。初回の第1打席は空振り三振に仕留めたものの、三回の第2打席はカウント1-2から外角低めにフォークを投じたが、大谷は左膝をつきながら右手一本で振り抜き、バックスクリーン右へ衝撃の一撃をたたき込んだ。才木は試合後、「僕の中ではベストボールがああやって片手で運ばれた。『レベルが違う』の一言で片付けたくない」と悔しさを隠そうとしなかった。

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