「巨人２－７阪神」（４日、東京ドーム）

　阪神が先発全員安打の７得点で引き分けを挟んだ連敗を３で止め、勝率を５割に戻した。初回無死一塁から中野がランエンドヒットを決める中前打を放ち、直後に二盗。森下の先制犠飛を導いた。中野は先頭で左前打を放った三回にも二盗を決め、大山の決勝打を導いた。デイリースポーツ評論家の谷佳知氏は阪神ベンチの勇気ある仕掛けに注目した。

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　阪神ベンチの勇気ある仕掛けが、勝利を呼び込んだと言っていい。

　初回、先頭の近本が中前打で出塁すると続く中野がエンドランを決め、森下の中犠飛で先制点を奪った。戸郷はクイックが速い方で、捕手も強肩の甲斐。エンドランが失敗に終わって近本がアウトになるようなことがあれば、開始早々勢いづきたいところで、逆に相手を落ち着かせてしまう。通常であればなかなか動けない、動かないシチュエーションではあった。

　なんとか連敗を止めたいという思いは当然として、それ以上に、今季初の伝統の一戦で新生阪神はこういう戦いをするんだ、という姿をファンに、宿敵に見せたい、という思いが藤川監督に強くあったのではないか。

　初回だけではなく、三回には中野の二盗成功から追加点を奪い、その後もエンドランを多用した。開幕からここまで藤川監督は攻撃面ではあまり仕掛けてこなかった印象がある。それが一転、これだけ走者を動かしてきた。この一戦まで、あえて積極的な仕掛けは取っておいた－。そう思ってしまうほどに強い意志を感じた采配であった。