訪米する日本のジュニアも目指せ松山!

 松山選手、今回の優勝は素晴らしい!あの、お祭り騒ぎの闘牛場風パー3の盛り上がり。お行儀を重んじるイギリスゴルフ界からは顰蹙(ひんしゅく)を買っているかもしれないけれど、盛り上がるのが大好きなアメリカ人には、ますます人気のある、有名なトーナメントになるかもしれない。

 その中で、18番ホールでリッキーとのプレーオフが決まり4ホール決戦。松山選手も、リッキーもプレーオフには強いので、目が離せない試合となりました。

 しかも、初めてリッキーの家族が勢ぞろいで応援に来ていた今回の試合。リッキーは、左腕内側に日本人であるお祖父さんの名前「田中豊」を入れ墨しています。子供のころからゴルフのみならず釣りやバイクなど、お祖父さんに色々な楽しみを教えてもらったことに感謝しているとコメントしていました。

 ということで、今回のアメリカPGAツアー、松山優勝と日本人の血を引くリッキーのプレーオフで、私はTVの前に釘付けになってしまいました。

 松山選手は、世界に通用するゴルフを目指すジュニアゴルファーにとって、大きな存在です。やはり、同じ日本人であるというだけで可能性が現実に感じられるのです。松山選手が努力の人であるのはもちろんですが、努力してもなれない世界もあるわけですから、彼の活躍こそがジュニアたちの目標となり、モチベーションにつながります。

 松山選手や宮里藍ちゃんを目標にして頑張っているジュニアたちが、日本の厳しい冬の間にアメリカ人宅にホームステイしながらジュニアの試合に参戦、ゴルフ練習やラウンドのゴルフ三昧と英会話も学べるとアメリカに短期でやって来る子供たちが増えています。今年もジュニアゴルファーがやって来ましたが、アメリカPGAツアー観戦後のコメントは?

 1、プロたちが気さくで優しい!感激した!(ファンあってのツアーです。強者はゆとりがあるので威張らない。弱い人程、から威張り)

 2、プロたちのプレーが速い!(松山選手は、パットが相変わらずちょっと遅いと言われています。構えてから固まっている時間が長いのは、メンタル的に良くないのですが。それでも、優勝したので、まぁ、良いか)

 3、プロたちのロケットのような音を立てて飛ぶ弾道に驚いた!(飛距離、弾道が全然違う。インパクト時の音が明らかに違う。ボール位置が違うので、インパクト時のボールとクラブフェースの接する角度が違う)

 ジュニアの試合参戦後の感想は…。

 1、アメリカ人はアプローチが上手い!(90%の日本ジュニアは58度ウエッジ1本でグリーンに上がってきます。またかぁ。さて、色々なクラブを使った色々な打ち方を教えることになるのです。必要な技術ですから)

 2、低弾道のショットがうまい!(高弾道だけしかできないジュニアが多いのが日本。低弾道だから止まらないという思い込みが間違い。高弾道だけなので止まってしまう距離しかピンに絡まない)

 3、アメリカのグリーンはかなり速い!(日本ジュニアはパチンと打つので速度のコントロールが難しい。あるいはフォロースルーというよりオーバースピンを無理やりかけるようなすくい打ちストロークなので出だし速くその、その後ダラダラと傾斜に弱い弾道となる)

 将来もますます速くなる傾向のグリーン。小さなテークバック、大きなフォローで打つ-これが主流。しかし平均パット28であれば、どのようなストロークでもOK。結果が大事。

 4、アメリカ人ジュニアはコースマネジメントが全然違う!(日本ジュニアは、コースマネジメントをほとんど知らない。レギュレーション・オンしか頭にない。オンしなければ、ボギーとなる確率も相当高い。バーディーというよりパーを取るレベルのジュニアが多い。志を高く持って、バーディー取得に慣れないことには、勝てるツアープロや、世界に通用するプロへの道は遠い)

 日本のジュニアがアメリカ人ゴルファーに対して思っていたこと…。

 1、アメリカのジュニアゴルファーは、毎日練習をしている。(違います。事実は週末だけ。レッスンや練習は週末、試験前などは勉強だけになったり、宿題が多い時もゴルフはできない。親が車で送迎をしなければならないので、週末のみゴルフの子供がほとんど。日本のジュニアゴルファーより練習時間ははるかに少ないかも知れない)

 2、ハイスクールのゴルフ部は誰でも簡単に入れる。(ハイスクールゴルフ部員は、高校によってはトライアウトと呼ばれる入部実技ラウンドを行い、スコアの良い人が入ります。1年間が2期制になっているので、夏期、冬期で男子、女子とゴルフ部活が分かれています。残りの半期は違う部活をしている人も多い。授業後の放課後3時30分から5時まで部活で対校試合は9ホール。使用するゴルフ場は、近くのゴルフ場が提供しているので部活時間に使用できる。学校の成績は平均点を取らないと部活はできない。高校の部活でゴルフ、勉強の成績が良れば、奨学金を得て大学ゴルフ部への道も開けるため、真面目に取り組んでいるジュニアも多数いる)

 3、大学ゴルフ部。(大学のゴルフ部員は、平均10人位の部員。そのため4年生が卒業する人数だけ新入部員で補充するので1~2人しか取らないため、あるいは取らない年度もあり、かなり狭き門である)

 アメリカのジュニアゴルファーたちは、ツアープロとして食べていけることが非常に厳しい現実を知っているので、社会で働けるように大学を卒業する人が多い。タイガー・ウッズやジョーダン・スピースのように、これはゴルフで十分食べて行ける天才型は大学を中退する人も。

 松山選手の優勝で練習に熱が入るジュニアが増えることでしょう。松山選手のパーオン率が素晴らしいのは、アイアンの名手であるから。パー4のバーディー数の多さがスコアにもつながります。ドライバーがフェアウエーを外しても、アイアンでグリーンに乗せていく。アメリカ人の誰もが彼のアイアンのうまさを認めています。

 アイアンの名手、今後は、パットがさらにうまくなれば鬼に金棒ですね。強いて言えば、あのパットアドレス、ボール位置と左足体重で打つストロークに異議あり、です。が、今後も前進していく松山選手にエールを送りたい。

 (LPGAインストラクター・今井貞美)

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