【スポーツ】春場所躍進の35歳・高安にあった確かな“予兆”とは? ヒシヒシと感じた愛妻・杜このみ効果 初V今度こそ
大相撲春場所で最も話題を集めたのは、新横綱豊昇龍でも、優勝した大の里でもなかった。悲願の初優勝に寸前まで迫った高安だった。場所後も角界内外からエールが届くなど、世間へのインパクト抜群だった35歳。ただ、決して想定外の躍進ではなかった。“予兆”は確かにあった。
悔しさを押し隠し、穏やかな笑みを浮かべる姿が印象的だった。12勝3敗で迎えた大の里との優勝決定戦。敗れた高安は「充実した場所でした。大きなアクシデントなく、最後まで取り切れた。本当にファンの応援が支えになりました」と、静かに感謝を口にした。
昨年秋場所は東前頭15枚目で10勝。西前頭9枚目の同九州、東前頭6枚目の今年初場所は8勝。春場所は東前頭4枚目と、上位総当たりの番付で迎えていた。
場所前は新横綱豊昇龍の話題一色だったが、高安が表に出る機会が続いた。2月8日のNHK福祉大相撲では、妻で演歌歌手の杜このみと、公のステージで結婚後初めてデュエットを披露。高安が好調の要因を「妻の愛のおかげです」と言い、杜は「一生一緒にいようね」と語った。
翌9日の大相撲トーナメントでは、準々決勝で豊昇龍を破り、決勝は翌々日に挙式を控える若元春を下して賞金250万円をゲット。「昨日は妻とデュエットして、いい思い出になりましたね」と語っていた。
大阪入り後、2月28日の佐渡ケ嶽部屋。豊昇龍が出稽古を行う情報が寄せられ、多くの報道陣が出向いたが横綱は右肘の不調で不在。多くの幕内力士が集う中、この日誕生日の高安もいた。
35歳となった高安は「常に志は高く、優勝目指して頑張りたい。三役にも戻りたい」とキッパリ。かど番大関の琴桜、大関取りの足固めとなる関脇大栄翔に注目が集まる中、高安の「優勝」という言葉が印象に残った。
春場所は序盤から好調で単独トップで14日目を迎えたが、美ノ海に喫した3敗目が痛かった。ただ、9度目の準優勝でも1横綱2大関を撃破し、優勝の可能性を残した千秋楽の本割を勝ったのは今回が初めて。確かな進化を示した。
初土俵から20年の節目で見せた輝き。高安は「悔しい気持ちを忘れず体を作りたい。また優勝を目指したい」と誓いを新たにした。
春巡業は急性腰痛症のため休場し、途中合流の予定。稽古始めとなった3月31日、土俵には姿を見せなかったが、部屋で念入りに体のケアなどを行った。角界内外から場所後に寄せられたエールを励みに“10度目の正直”を目指してくれるはずだ。(デイリースポーツ・山本鋼平)
◆高安晃(たかやす・あきら) 本名同じ。1990年2月28日生まれ、茨城県土浦市出身。市立土浦第一中を卒業し、鳴戸部屋から2005年春場所で初土俵。10年九州で新十両、11年名古屋で新入幕。17年名古屋から15場所大関を務めた。三賞13回。身長188センチ、体重174キロ。家族はこのみ夫人と一男一女。
関連ニュース
編集者のオススメ記事
インサイド最新ニュース
もっとみる【野球】横浜・阿部葉が走攻守で“主役級”活躍 センバツで存在感示した原石たち
【野球】若虎時代にメジャー関係者から“スカウト”されていた「僕と新庄の2人を置いていってくれ、と言われていた」米教育リーグで注目される
【野球】ようやく解き放たれた阪神・藤川監督の素顔 感情を爆発させたガッツポーズと絶叫
【野球】低反発時代の“新兵器”1キロ超木製バットが使われる理由 センバツ準V智弁和歌山が導入
【野球】楽天・岸孝之 プロ19年目で新球に挑戦する理由 球団初の40歳日本人先発勝利を導いた飽くなき探究心とは
【野球】なぜ阪神・藤川監督は井上広大をわずか1試合の出場で2軍降格にしたのか 「モチベーションが心配。打撃も小さくなる恐れがある」と評論家
【野球】暗黒時代の阪神を経験した内野手「強かったら、試合に出られたのかどうか…」明かした藤田監督への感謝
【野球】勝利を呼んだ中日・上林の神走塁 基本に忠実だった巨人・中山の誤算 明暗を分けた瞬時の判断