【野球】若虎時代にメジャー関係者から“スカウト”されていた「僕と新庄の2人を置いていってくれ、と言われていた」米教育リーグで注目される
阪神、近鉄、楽天で17年の現役生活を送り、今年から独立リーグ・千葉スカイセイラーズのGMを務める星野おさむ氏(54)が、若虎時代の海外経験について語り、阪神の1期後輩である日本ハム・新庄剛志監督との思い出を振り返った。ともに参加した米国・フロリダでの教育リーグではそろってメジャー関係者の目に留まったというエピソードも明かした。
◇ ◇
若虎時代に海を渡り、メジャーを目指す選手たちとしのぎを削った経験がある。
「留学じゃないんですけど、教育リーグ、ウインターリーグで4、5回、運良くアメリカに行ってるんです。ずっとファームだったから。あの経験はすごく大きかった。90年、91年ごろですね」
星野さんは入団当初の濃厚な海外体験を振り返った。
9月下旬からの1カ月超の教育リーグで実戦を重ねていく中で、同行していたファーム担当の末永正昭氏から、こんな話を聞かされたという。
「参加したリーグのグループの中に、シンシナティ(レッズ)がいたんです。末永さんが言うには、そこのコーチが僕と新庄の2人を置いていってくれって言ってきたと。ほんとかどうかは分かりませんけどね。末永さんは『新庄はダメだけど、おまえは置いていってもいいぞって言っといたから』って、いやいやいや、ですよね」
冗談めかして末永氏から報告されていたが、星野さん、一緒に参加していた後輩の新庄選手の2人は、メジャー関係者から“スカウト”されていたのだ。
「身体能力がわりと高かったし、2人とも内野のわりには投げられたので」。メジャー関係者から評価されたポイントを星野さんは推測した。
星野さんが入団した翌89年に、新庄選手はドラフト5位で外野手として入団。教育リーグ参加当時は遊撃手としてプレーしていた。
「置いていってもいい」と先方に伝えられた星野さんも、新庄選手も、当然ながら“スカウト”に応じることなく教育リーグ終了後はチームとともに帰国。その後、新庄選手は外野手としてレギュラーを奪取。星野さんも貴重な1軍戦力へと成長していった。
フロリダでの教育リーグ参加が、メジャーへのあこがれをかき立てることになったのか、新庄選手はFA宣言して2001年に大リーグ・メッツ入り。マリナーズ・イチロー選手とともに、日本人野手では初となるメジャーリーガーとなったのは、知られるところだ。
2人とも、チームでの参加となった教育リーグだけでなく、少数の有望株が送り込まれるハワイ・ウインターリーグにも別々に派遣されており、球団から期待をかけられていたのがうかがえる。
海外での武者修行体験を星野さんは「すごい新鮮でしたし、すごい経験になりました」と振り返り、その効果を「僕らの年代って外国人コンプレックスがあった時代ですけど、僕はなかったですね」と話した。
1期違いの後輩だった新庄選手とは、阪神の合宿所「虎風荘」でも共に過ごし、毎日誰かの部屋に集まっていたという。「楽しかったですよ。亀山さんが一年上で、新庄が一年下で、吉田浩もいて。なんか時間があればどこかの部屋で遊んでたメンバーなんで。高井(一)さん、桧山(進次郎)さんも入ってきて。今考えたら仲が良すぎた」と笑う。
メジャーでの3年間を経て新庄選手は2004年に日本球界に復帰。日本ハムで3年間プレーし、2006年に現役を引退した。星野さんは阪神から近鉄を経て、楽天入りし05年に引退。そこから指導者の道を歩み始めた。
新庄氏のことを「昔から裏表がないし、有言実行する」と表現する星野さんは、新庄氏が率いる日本ハムの今季の戦いに注目している。2022年の監督就任当初は苦戦を強いられたが、シーズンを重ねるごとにチームは地力をつけ、監督4年目の今季は優勝候補に挙げられるまでになっている。
「当然、ファン目線ではないですけど、期待というか、応援というか。興味もあるし、楽しみがいっぱいあります」
そうエールを送った。
(デイリースポーツ・若林みどり)
星野おさむ(ほしの・おさむ)1970年5月4日生まれ。埼玉県出身。埼玉・福岡高から88年にドラフト外で阪神入団。93年4月に1軍初出場。2001年に戦力外となりテストを経て02年に近鉄入団。04年の分配ドラフトで楽天移籍、05年限りで引退。実働13年で738試合、1537打数387安打、打率・252、24本塁打、155打点、27盗塁。06~10年まで楽天コーチ。11年から四国IL愛媛監督、BCリーグ武蔵監督、福島GMなどを歴任し、25年1月に独立リーグ千葉のGMに就任。
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