闘魂三銃士と四天王の違いとは?

 もうすぐ平成が終わる。平成とともにプロレス人生を歩んできたプロレスラー、蝶野正洋が平成のプロレスを振り返った。今回は、闘魂三銃士と四天王の違いについて語り尽くす。

  ◇  ◇

 オイ、テメエら、蝶野正洋だ!すっかり秋になってしまったな。それはともかく、今回は新日本プロレスの闘魂三銃士(蝶野、橋本真也、武藤敬司)と全日本プロレスのプロレス四天王(三沢光晴、川田利明、田上明、小橋建太)の違いについて話そう。

 前回は自分が91年に始まった新日本のG1クライマックスで優勝してメーンイベンターになったけど、その役割が分からずに悩み続け、ヒールに転向した話をした。それは新日本の中での流れだけど、その時期には、ライバル団体だった全日本プロレスへの対抗意識も当然あった。週刊誌、新聞にどっちが多く出ているんだ?自分が出ているのか、四天王が出ているのか?とかね。こっちがすごいことやったと思ったら記事は小さくて、向こうの方がどーんと載ったりすることもあったよ。ガッデム!

 新日本のスタイルは、アントニオ猪木さんはどちらかというと相手の技を受けるプロレスだった。受けて受けて最後に仕留める。逆に猪木さんの弟子の藤波辰爾さん、長州力さんは受けないプロレス。その2人に近い世代の前田日明さんと高田延彦さんのUWFはそれを極端に進化させたものだと思う。たぶん、藤波さん、長州さんは猪木さんと同じことをやっていたら目立たないから、その反対を見せたかったんだろう。そして、その下の三銃士はまた違った。特に自分なんかは何で技を受けること、見せることを否定するんだ、と考えたんだ。

 だから、上の世代に対抗して受けるプロレスをやった。三銃士としてのデビュー戦だった88年7月の有明コロシアム大会(蝶野、橋本、武藤組-藤波、木村健吾、越中詩郎組戦)では、受けるばかりで技は何個かしか出していない。相手は攻めるの大好き、攻めなきゃプロレスじゃないという人たち。逆に自分は、違うでしょ、と。受けてなんぼのもんでしょ、というのをアピールしていこうとした。

 その自分らの動きはそれほどメディアに取り上げられなかったけど、あの頃の流れの中では新鮮に映ったんだろうね。全日本も本来はしっかり受けるプロレスだったけど、長州さんや前田さんが時代を少しずつ変えていった中で、受けないで攻めるプロレスになっていた。四天王は後に攻めも受けも激しくなっていったけど、その受けない流れから自分らの流れについてきたんだと思う。向こうも変わって来たな、というのは感じたね。(プロレスラー)

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