藤川虎は２８日にマツダスタジアムで広島との開幕戦に臨む。阪神・藤川球児監督（４４）は２７日、同球場で広島・新井貴浩監督（４８）と会見に出席。開幕投手の森下攻略へ、「攻めの姿勢」を強調した。キーマンには佐藤輝を指名し「チームを引っ張ってほしい」と期待。チームはナイター練習を実施し、万全の準備を整えた。

　和やかな雰囲気の中に、独特の緊張感が漂う。かつてともに戦った新井監督と並び立った記者会見。藤川監督は新人監督らしく「非常に楽しみ」と心を躍らせつつ、冷静に開幕戦のイメージを膨らませた。

　「私たちは先に攻撃が始まりますから、攻めの姿勢で森下投手に襲いかかる。球場に入った時から、一歩から踏み込んで、勝負を仕掛けていく」

　ビジターの特性を最大限に生かす。森下に対して昨季は３試合で１勝１敗ながら対戦防御率１・１３と苦しめられた。スタンドが真っ赤に染まると予想される中、「立ち向かわないといけない。モチベーション高く」とメンタリティーの重要性を強調。さらに「一昨年はボールを見極めて、昨年は森下投手のようなコントロールのいい投手にどんどんストライクを突かれたイメージがある。うちがどう変わろうとしていて、どんな野球をするのか、楽しみに見ていただきたい」。就任以来、“球児野球”について鉄のカーテンを引いてきた中、難敵攻略への秘策をにおわせた。

　その中心には佐藤輝がいる。イチオシ選手の問いに間髪入れず、「佐藤です」と即答した。今季は新３番に指名。「初回に必ず打順がまわる。３番に入る佐藤がチームを引っ張ってくれると思っている。明日から佐藤の活躍とともにチームを進めていきたい」。昨秋からアグレッシブな姿勢を評価しており、リーダーシップに期待を寄せた。

　開幕前日から静かにバトルが始まっている。約７分半の会見中、２人は一度も視線を合わせることはなかった。新井監督とは阪神で５年間、一緒にプレーし、２００８年の北京五輪もともに戦った間柄。新井監督は阪神にＦＡ移籍し、再び広島へ。藤川監督もメジャー移籍、四国ＩＬｐ高知でのプレーを経て、最後はタテジマでユニホームを脱いだ。そうした境遇にも共感し、注目の采配対決にも闘志を燃やした。

　「いろんな人生観が似ているところもあると思います。明日からの３連戦はゲームの中で、そういったものも、人生とともに出てくるのではないか。相手ベンチといい勝負をしながら、皆さんに楽しんでいただきたい」

　午後５時開始のナイター練習では、ＬＥＤ化された照明、全面張り替えが実施された内外野の天然芝を確認した。「練習が雨に間に合ってできたので、少しはホッとしてるところでしょうね、コーチ陣も」と藤川監督。大一番へ準備は整った。「最高のメンバー」と評したナインたちと、開幕ダッシュを決める。

　【開幕戦阪神予想スタメン】

１番・中堅　近本

２番・二塁　中野

３番・三塁　佐藤輝

４番・右翼　森下

５番・一塁　大山

６番・左翼　前川

７番・遊撃　木浪

８番・捕手　坂本

９番・投手　村上