阪神・村上 悔し涙から182日ぶりマツダで開幕星 「体、心、全部にしみた」坂本との思い出のラーメン
「広島0-4阪神」(28日、マツダスタジアム)
真っ赤に染まる夜の広島に、阪神・村上頌樹投手(26)が強くなって帰ってきた。悔し涙から182日ぶりのマツダのマウンドで8回2/3を4安打無失点。あの日はカープの大歓声にかき消された。今年は違う。「初戦で勝ちたいと思ってた。自分としてもチームとしても、いいスタートになった」。あと1死で完封こそ逃したが、ベンチに向かう右腕の耳には温かい虎党の拍手が響いた。
24年9月27日の広島戦(マツダ)。村上は中継ぎで延長十二回にサヨナラ打を浴び、人目をはばからず涙した。その数時間後、チーム宿舎で1件の連絡が来た。「なにしてんの?ラーメン食べに行く?」。相手は坂本。迷わずに外へ出た。和風だしのラーメンが喉をつるっと通る。「体、心、全部にしみましたよね。おいしかったです。あれで救われました」。先輩の心遣いがうれしかった。
坂本は言う。「ああいう時、食事会場では食べにくいから。俺だって嫌だし」。野球の話をするつもりはなかった。でも麺をすすりながら、自然と野球の話題になった。その2人でつかんだ開幕白星。幼少期の憧れだった藤川監督にウイニングボールを渡し、勝利の味をかみしめた。
昨年はバッテリーを組まない期間もあった。そんな時でも試合中のベンチ前キャッチボールではお互いの意見をぶつけ合った。「真っすぐ、良くなってきたよな」。直球の大切さを改めて思い出させてくれ、オフに磨きをかけた。この日は三回2死三塁で二俣を直球で空振り三振。思わずほえた。四回2死二塁では秋山を148キロ速球で一ゴロ。気合の135球目もストレートだった。要所で決め球に選択したのは、昨季からのテーマの「真っすぐ」だった。
チーム35年ぶりとなる開幕戦完封勝利を導いた、135球の熱投。いつも以上に感情表現を豊かに、打者へ向かっていった。「昨年はそこまで勝てなかった。今年は勝利と防御率も良く、チームに貢献したい」。一昨年のMVPも、昨年の苦しみも過去のこと。今年は復活、いや進化した姿を見せつける。
◆阪神・開幕戦完封メモ 村上はあと1人のところでマウンドを岩崎に譲り、惜しくも完封勝利を逃した。阪神の投手が開幕戦で完封勝利を飾ったのは、1990年4月7日の広島戦(広島)で中西清起が、70年の江夏豊以来となる9-0のシャットアウトでカープ打線を封じたのが最後となっている。ただ継投になったとはいえ、阪神の開幕戦完封勝利はこの90年以来、35年ぶり。
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