【野球】阪神 広島・矢野の二進防いだ攻めの守備 筒井コーチがデータ元に外野手に右寄り指示
本塁打、盗塁、三振…記録のスポーツとも呼ばれる野球では、スコアブックには残らないプレーが数多く存在する。3月28日の開幕・広島-阪神戦(マツダ)は、接戦の中でそんなプレーが勝敗を色濃く分けた。四回、広島・矢野が放った右翼線の打球を阪神・森下が素早く処理し、二塁に進ませなかった。大胆なシフトを敷いた裏にあるベンチの根拠や、“攻め守備”を生む担当コーチと選手の信頼関係に迫る。
◇ ◇
快音を残した白球が鋭く右翼線に飛んでいく。即座に振り返ったマウンド上の村上が、厳しい表情で打球の行方を追う。
「やられた」-
誰もが長打を覚悟した中、森下が素早くゴロを捕球。一塁を大きく回った矢野も慌てて帰塁し、二塁に進むことができず悔しがっていた。「二塁打かなと思ったんですけど、翔太がうまく一塁で止めてくれたので、あそこは大きかったなと自分でも思いますね」。笑顔で感謝を述べる村上は、記録に残らないファインプレーだと強調した。
「次の打者が小園だし、矢野もランナーでちょこちょこするのでね。二塁にいるのと一塁にいるのとでは、ワンヒットでかえられるのか、かえられないでは全然違う。気持ちの持ちようというか、そういうのは本当に大きかったと思います」
勝敗のターニングポイントになったのは四回の攻防だ。直前の三回、村上は菊池の左翼線二塁打から無死二塁を背負っていた。このピンチを無失点で切り抜けた直後のマウンド。先頭・矢野との対戦だった。ベンチの中央に立つ筒井外野守備走塁コーチが、一歩前に出て左翼・前川、右翼・森下、中堅・近本の順にジェスチャーで指示を送る。それぞれ右に寄った。
初球は内角低めのカットボール、137キロがファウルになった。2球目を前にして森下は、さらに右に立ち位置を変えた。筒井コーチは「あれが2ストライクアプローチになると、もう少し守備位置を変えて(戻して)いたんですけど」と前置きした上で、指示の裏にあった根拠を明かした。
「外野手とのミーティングの中で、今年の矢野君の打撃の取り組みやカウントも含めて、あのポジショニングに関しては、狙い通りだったなという感じはあります」
昨季、内角球への対応が課題だった矢野に対し、村上-坂本の阪神バッテリーは弱点を突く。矢野が逆手に取って狙い打ちしてくれば、引っ張った打球が右翼線に飛ぶ-と読んだ。同コーチが「うまくハマった」とうなずいたように、チームとしてのデータ戦略が奏功したファインプレー。だが、一方で守備シフトにはリスクも伴う。同コーチも「僕も個人的には、大きく動かすことは推奨しないタイプです」と言う。
「外野手の力量もある。それも踏まえた上で逆を突かれても、対応できる守備能力があるのかどうかも大事。全部含めた上での寄せ方なんです。だから実は漠然としているようで、細かい守備位置取りをするようにしています。今回はそれがうまくハマりました」
一方、勝って反省できるプレーもあった。前述した三回に菊池が放った左翼線二塁打。状況における打球の傾向も出ていた中で、思い切ったシフトを敷けず二塁進塁を許した。「シングルで止めることもできた」と今後の課題にした。「村上ではなく門別が投げれば、またシフトも少し違ってくる。あまり話せないこともありますけど、そういったところでも野球を楽しんでいただけたらなと思います」。3アウトで攻守が変わる野球では、一つのプレーで試合の流れが行き来する。ただ守るのではなく攻めの守備が流れを呼び、阪神の勝機を手繰り寄せた。(デイリースポーツ・田中政行)
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