紅白の欅坂メンバーに起こった「過呼吸」…原因と対処法は
「町医者の独り言・第27回」
紅白歌合戦。昨年の大みそかも多くの歌手、タレントが出演され、1年の締めくくりに我々を楽しませてくれました。1年間たまったストレスを弾き飛ばすほどのエネルギーを得た人も多くおられたのではないでしょうか?ただ、有名な女性グループの中の3人の女性がステージで倒れたことに非常に心配しました。
後ほど病名が発表されて、個人的には少し安心しました。過換気症候群。一般的には「過呼吸」といわれています。若年女性に多く認められます。ストレス、緊張、不安、過度の運動によって発作が出現します。
症状としては、呼吸回数の増加、呼吸困難、動悸(どうき)、前胸部痛、めまい、意識障害、パニック、手足の硬直などが起こります。なぜ、こういう風なことが起こるのか?原因は、身体の中の二酸化炭素が極端に不足してしまうからなのです。
呼吸をして、体内に酸素を取り込めば、取り込むほどいいと思われがちですが、身体の中には、適量の二酸化炭素も必要なのです。微妙なバランスを二酸化炭素が調節しています。
身体の中で急激に二酸化炭素が減少することにより、血管内のカルシウムイオンがアルブミンと結合して、見かけ上のカルシウムが減少することにより、手足の筋肉が硬直してしまい、更に不安がまして、呼吸回数が増え、さらに二酸化炭素が身体から出て行ってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。今回もそういうことではないかと考えています。
もし、近くにこのような人を見かければ、背中をさするなどして安心感を与えながら、ゆっくりと呼吸をすれば落ち着くことを説明して、呼吸回数を減らしていくことが大切です。以前は、ペーパーバッグ法といって、紙袋で口と鼻を覆って、自分の呼気に含まれている二酸化炭素を再吸収する方法が促されていましたが、現在は低酸素血症を誘発する可能性があるので、推奨はされていません。
今回の紅白歌合戦で、女性グループの方たちには相当のプレッシャーがあったのでしょう。不安が不安をよび、呼吸回数が増え、さらに二酸化炭素が体内から消失するといった悪循環に陥ってしまったのでしょう。
ストレス、緊張などが原因となっていることが多いので、過換気症候群の患者さんを見つけたら、とにかく不安を取り除いてあげることが先決。それから、ゆっくりと呼吸をするように促してみましょう。それでも、ダメなら病院を受診してください。軽い安定剤を投与することにより、すぐに症状は改善します。
過換気症候群を繰り返すようであれば、ストレス、緊張の原因を除去するために、カウンセリングを受けたり、軽い安定剤をしばらく内服することも一つの方法です。症状が強いので、初めて経験した患者さんはびっくりすると思いますが、もし似たような状況に遭遇すれば、上記のことを思い出し、参考にして頂ければと思います。
◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。
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