亡くなった勝谷誠彦さんから見える大量飲酒の怖さ 早すぎる死は残念…
「町医者の独り言=38=」
子供のお弁当がない時は、私のお弁当もないという暗黙の掟がある。診療の合間だった28日午後2時前、そば屋さんに駆け込み、お茶をすすっていると衝撃的なニュースが流れ、思わず席を立ってしまいました。テレビは勝谷誠彦さんの死去を伝えていました。原因は、アルコール性肝炎が急性増悪したことによるようです。
アルコール性肝障害の概念は、5年以上の過剰な飲酒が主な原因と考えられる病態です。「過剰な飲酒」とは、純エタノール60g以上の飲酒を指します。日本酒であれば3合以上、ビールなら大瓶3本、ウィスキーはダブル3杯程度が目安です。ここで勘違いしないで頂きたいのは、日本酒、ビール、ウィスキーの合計ではないということ。女性の場合は上記の量の3分の2とされています。
アルコールの過剰摂取によって肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝となり、さらに進むと肝臓に炎症が起こり、炎症を起こした部分が硬くなるという現象、すなわち線維化が起こります。そういった状態で、常習としている飲酒量を急激に増やしたことによって、アルコール性肝炎が起こってしまうのです。アルコールそのものによる肝障害と、アルコールの過剰摂取による脂肪の蓄積が、その原因とされてきましたが、その他にも免疫機構の関連についても解明されてきています。
治療としては「禁酒」は絶対条件として、アルコール依存状態であれば精神科との連係も必要になってきます。その他にバランスの取れた食事をとること、ビタミン投与、肝細胞庇護剤の投与をすることもあります。重症な場合には大量のステロイドを投与したり、血漿(けっしょう)交換、透析などを施行するケースも。
以前に腹痛で入院されたあとの勝谷さんを拝見したことがありますが、ふっくらとされているようでした。ステロイドを大量投与した際の副作用として、そうなるケースがよくあります。いずれにせよ、大量の飲酒を長年続けることは、非常に危険なことなのです。
私は勝谷さんの歯に衣着せぬ言いっぷりが大好きで、テレビなどでよく鋭いご指摘をされるのを楽しみにしていました。時々足を運ぶお寿司屋さんに、勝谷さんもよく来られていると聞き、勝手に“親近感”を持っていました。さらに同じように大のお酒好き。私も酒を自重しなければならないと反省し、心からご冥福をお祈り申し上げます。
◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。
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