侍コーチ能見との雑談
【3月8日】
最後の質問は、通称「にしつー」の記者からだった。
「甲子園球場の界隈でよく行く飲食店ってありますか?」
能見篤史は首をひねりながら…
「まったくないんですよね…」
侍ジャパン投手コーチの能見が「甲子園歴史館」で「一日館長」を務めるというので覗いてきた。DeNAとのオープン戦が始まる少し前である。囲み会見では、今シーズン阪神で期待する選手、また、15周年を迎えた歴史館について…様々な質問に実直に応えていたが、地元誌「西宮つーしん」からの問いかけには返答に窮していた。
同誌記者「では、西宮市内では?」
能見「家族で行くくらいで…。子どもが食べたいところへ行く感じです」
同誌記者「どんなお店に?」
能見「う~ん…。基本的に混んでいないお店に入りますね」
このやりとりだけ読めば、素っ気なく見えるが、愛想がないわけでも、クールを装っているわけでもない。
これ、能見のリアルなのだ。
さて、肝心のオープン戦へ話を移せば、20歳が全盛期の背番号14を思わせる連続奪三振を見せてくれた。
門別啓人である。
胸がスカッ!としたのは二回1死から。バッタバッタと5者連続のK。四回は無死満塁のピンチを招くも0封。これでキャンプからの実戦5試合計15イニング無失点。ステージアップが楽しみで仕方ない左腕である。
ついこの前までルーキーだと思ったら、もう3年目。こんなに素晴らしい直球を見せられれば、入団会見で彼が堂々語っていた言葉を思い出す。
「WBCに選ばれるような、日本を代表する投手になりたいです」
どうですか?能見コーチ!
って…ついつい気の早い話を書いてしまうのが悪いクセなんだけど、そういえば、能見が侍ジャパンのコーチに就任してすぐにこんな雑談をした。
能見本人もWBCを戦った経験があるからこそ問うてみたのは…
日本代表コーチって何を教えるの?
質問がざっくばらん過ぎたけれど、能見は一言。
「コンディション。体調ですよね」
なるほど。
「僕自身、好奇心があって色んな店へ行って色んなものを食べて…っていうことが基本的にできないタイプなんですよ。外食するのも億劫でしたしね…。WBC(米国)で体重が2キロ以上落ちてしまって。体重が減ったらボールの質も変わりますし…」
西宮でお店を「探さない」男。アウェーならなおさら…。そんな気質の能見が後進の投手に伝えたいことは、どこへ行こうが、好奇心を持って、うまいもん食べて、場所を問わず栄養をつける、健康を保つ。そんな貪欲さを持てば「言うことなし」だと。
門別はまずは今シーズン。阪神はビジターでも宿舎のご飯がうまいと聞くし、たまにはセンパイに「好物」の焼き肉をご馳走してもらって…。あの速球の質を支える大きな下半身よ、すくすく育て。=敬称略=
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