【野球】センバツ選考の明暗 「地域性」で落選となった岐阜第一 98年ぶり選出ゼロの大阪 選抜ガイドラインとは
第97回選抜高校野球の選考委員会が24日に開かれ、21世紀枠2校、一般枠30校が決定した。
注目だったのは東海地区の3枠目。東海大会を制した大垣日大(岐阜)と準優勝の常葉大菊川(静岡)は順当に選出されたが、最後の1枠はベスト4の至学館(愛知)と岐阜第一の比較となり、至学館が3校目に選出された。選考委員の説明によると、試合内容、戦力、試合時のマナーなどが全てにおいて拮抗していたといい、最終的に「複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの都道府県から出場できるよう地域性も考慮するという評価ポイントに沿う」とした選抜ガイドラインに従い、大垣日大が選出されていた同一県の岐阜第一ではなく、愛知の至学館が選出された。
ただ、選出決定直後には、この「地域性」という理由に疑問符が投げかけられた。「プレーヤーに地域性で落ちたと面と向かって言える?」「全く同じ評価だったと言わなきゃいいのに。なにか理由を付けてくれた方が落ちた方は納得できるんじゃないか」「選抜選考には曖昧さが今も残るから、いっそのこと夏と同じような選び方にすれば不平不満も出ないんじゃないかな」といった声もあった。
一方、関西地区からは近畿大会を制した東洋大姫路(兵庫)をはじめ、準優勝の智弁和歌山、ベスト4の市和歌山、天理(奈良)が選出され、5、6校目を近畿大会8強で大院大高(大阪)、滋賀学園、滋賀短大付、立命館宇治(京都)が争い、滋賀学園と滋賀短大付が選ばれた。「地域性」という観点に立てば、滋賀2校ではなく、大阪、京都のどちらかから1校を選出するのが妥当に思われるが、宝選考委員長は「京都、大阪から選考がないのは、人口が多い地域で残念だが致し方ない。98年ぶりに大阪から出場校がなく、大阪の人はショックを受けているかも。でもそれが選考、それがセンバツということ」と説明した。つまりは東海地区と異なり、複数の学校の評価が並ばなかったため、地域性を考慮することはなかったということなのだろう。
夏の甲子園大会と同様のシステムを採用すれば、各都道府県から最低1校は甲子園の土を踏める。ただ選抜においては、横浜と横浜清陵が選ばれた神奈川、二松学舎大付(東東京)と早実(西東京)が選出された東京、智弁和歌山と市和歌山、滋賀学園と滋賀短大付の滋賀、沖縄尚学とエナジックスポーツの沖縄と、記念大会などを除いては夏では実現できない各府県から2校が選ばれるという事象が発生する可能性があることも魅力のひとつではある。
ネットでも「これが選抜の醍醐味」「同じとこから2つ出られることの意味が選抜にはある」「春と夏を一緒にする必要はない」といった反応が見受けられた。
選ばれたチームは喜び、惜しくも出場を逃したチームは涙する。惜しくも朗報が届かなかったチームに、この悔しさをバネに-とたやすく声はかけられない。明確であるようで、明確でない線引き。これまでにも数々の選考ドラマがあったが、そのたびに高校生が受け止めるには重すぎる判断なのかもしれないと思ってしまう。(デイリースポーツ・鈴木健一)