愛媛・肥後 悔しかった…許した10盗塁 守備の借りは後期で返す
【愛媛・肥後郁弥捕手】文=高田博史
アイランドリーグは後期リーグ戦が開幕する7月28日まで、しばらく中断期間に入った。
愛媛の練習グラウンドでは、萩原淳コーチ(オリックスほか)が野手に1日20箱のティー打撃を最低のノルマとして課している。1箱に140球入っているから、20箱で2800スイングする計算になる。
「いま13箱終わったので、あと7箱です」
練習を中座し、取材に応じてくれた肥後郁弥の顔から噴き出す汗が止まらない。
ルーキーながら、前期を打率・337(2位)で終えた。中高大とクリーンアップを任されており、長打力には自信を持っていた。
だが、愛媛に来て考え方を変えている。長打力では外国人選手にかなわない。萩原コーチから「長打を狙って大振りするんじゃなくて、低い打球で外野の間を抜け」とアドバイスされた。
「それを練習のなかで意識付けしてやったことが、結果につながったと思います。自分のなかで成果が出たかなと感じました」
もちろん長打も打ちたい。しかし、ホームランはヒットの延長だと捉え、鋭く速い打球を打つことに徹した。自分で納得のいくスイングができれば、自然に長打は生まれるはずだ。
「いままでの野球人生でも結果は大事だったんですけど、ここに来て1つのチャンスや1打席、1球の大切さをすごく実感していて。スイングの集中力も上がりました。自分の打撃に変化があったと思います」
2月、合同自主トレ開始3日目に右膝のじん帯を損傷するケガを負った。なんとか開幕には間に合ったが、初の先発マスクをかぶった対徳島前期2回戦(4月12日、東予)で10個もの盗塁を許してしまった。膝をかばいながらプレーしていたことなど言い訳にならない。
「やっぱり、その試合が一番印象に残ってますし、悔しい思いもしました。それは後期にしかやり返せないので」
打撃で結果を残す。捕手としてもチームに貢献したい。「もっとやっておけば良かった」なんて後悔はしたくないから、この1年間をやり切る。どんな形でも、やり切る。