高知・石井、中学のチームメートロッテ・成田に触発される球団トップ奪三振投手

 【高知・石井大智投手】文=高田博史

 少し気恥ずかしそうに、石井大智が言った。

 「自分では三振が取れるピッチャーだと思っていて」

 奪三振数が投球回数を超えることを目標にしている。奪三振率9・57(13日終了時)は球団トップの成績だ。ストレートに自信がある。オーバースローの投手には珍しいシンカーをウイニングショットに、縦の変化で空振りを取る。

 今春、秋田工業高専を卒業、大手石油会社への内定を辞退して高知に入団した。成田翔(ロッテ)は、中学時代のチームメートである。

 「正直、翔に負けたくないって気持ちが一番強くて」

 あいつがNPBに行けたのに、なんでオレが行けないんだ? そんな気持ちが野球を続けさせた。

 6月、アイランドリーグ選抜チームは首都圏遠征でロッテ2軍と対戦し、成田もマウンドに登っている。だが、石井はメンバーに選ばれていない。成田からの「お前、なんで来てないんだよ」という電話に、返す言葉がなかった。

 しかし、吉田豊彦コーチ(元南海ほか)の指導の下で急速に力をつけている。マウンドで考える力がグッと上がった。

 徳島に敗れ、後期優勝が絶望的となった9月14日(高知球場)六回から登板し、2イニングを無失点に抑えている。5者連続三振の快投に球場がどよめいた。

 ドラフト候補として名前が挙がる徳島・鎌田光津希を視察するために、スカウトが大勢詰め掛けている。そこで一発、アピールを狙っていた。高知・駒田徳広監督(元巨人ほか)が言う。

 「NPBの人たちが興味を持つのは鎌田君かもしれませんが、僕は一番輝いてたのは石井君だと思ってます、間違いなく」

 奪三振率は10・01まで上がった。自身のパフォーマンスには満足できたが、チームの敗戦は悔しい。

 「やっぱ、チームのためにいいピッチングをしたいっていうのが大前提で。きょうでちょっと優勝がなくなったので、来年に向けてっていうのを考えてます」

 10月には宮崎でのフェニックスリーグもある。秋季練習でさらにレベルアップすることも必要だ。やるべきことは、まだまだある。

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